![]() | てをつなご。 (2008/02) あいはら ひろゆき 商品詳細を見る |
最近、児童書を多く手掛けているあいはらひろゆきさん。
元は広告代理店のマーケティングプランナー、バンダイのキャラクター研究所所長もしていたという、異色の経歴。イラストレーターのあだちなみさんとのコンビが多く、「くまの学校」シリーズが有名。
さて、新刊の『てをつなご』。
あだちさんとはまた違った画風の植田真さんが絵を描いている。主に白を貴重にした画面。
いしいしんじさんの本に挿絵を手掛けている植田さんの絵は、儚げで微かで、細いのに、伝わってくるメッセージは強いものがある。絵と絵の間の隙間の空間が雄弁なのだと思う。
原っぱに佇む少女。
目の前にいた子どもが、お父さんと手をつないで愉しそうに歩いて帰って行く。少女が振り向くとそこには、彼女のお父さんがいる。お父さんは、車いすに座っていた…。
子どもは大人が思っている以上に、いろんな事を理解し、受け止め、心を配り、気を使い生きている。
特に、この本の少女のように、家族に障害のある人がいる時、その辛さ、もどかしさ、淋しさ、理不尽さを受け入れて、一生懸命自分に納得させているのだと思う。普段は、そうやって生活していることが自分にとって「普通」であるから気にも留めてなかったのに、ある日、別の人を見て、その違いを認識せざるを得なくなり、それに対する感情を溢れ出させてしまう瞬間は必ずあると思う。わかっているけれど、責めたくなる気持ち。
手をつないで歩けない父に対して、溢れる気持ちをぶつける少女。静かに受け止める父親。
時は流れて、少女は大人の女性になり、父親もおじいさんになっている。
2人はまた、同じ原っぱへやって来た。車いすを押しながら…。
![]() | ケチャップマン (2008/01) 鈴木 のりたけ 商品詳細を見る |
先日、待ち合わせで行った丸善で見つけた本。
題名から、図書館じゃ扱わなそうな感じ、しかも自費出版を多く手掛ける(=作品のレベルが揺れやすい)出版社だし、その出版社が絵本を出すこと自体びっくりだったので、こういう機会じゃないと、と思って手に取った。
おお!
この表紙。シュール!
こういう不気味なの、私だーいすき。
ケチャップマンと云いながら、容器に入ってないし、トマト買ってるし。もしかすると、これからケッチャップができるまで、とかいう話になるのか?と思ってページを開く。
<あらすじ>
ケチャップマンはケチャップ容器。屈めばケチャップ、飛び出す始末、何分見た目がこれでは就ける仕事もひとつもない。それでも、なんとかポテトフライの専門店に雇われた。個性を生かせる仕事でなく、怒鳴られなじられフライを必死を覚える日々。ところがある日、やって来たるはトマト頭のトメィト博士。あれがほしいと、指差す先に「ケチャップマン」!
とまぁ、これから先は読んでのお楽しみ。こう云う本は、説明しても面白くない訳で、気になった人はなんとしても現物を見てみてね。
本文も7・5調の調子のいいリズム感。作者のHPにリライト前のストーリーが出ていますが、えらく説明調の長い文章です。それに比べ、絵本になった削りに削った文章でこそ、このシュールなイメージをうまく引き出しているように感じます。
気持ち悪い、と云う人が多いと思うし、後世に残る不朽の名作には恐らくなりはしないと思うけど、健全じゃない絵本っていうのも必要だと思うのよ、わたくしは。
![]() | はつゆき (レインボーえほん 19) (2007/11) 西片 拓史 商品詳細を見る |
<あらすじ>
小屋の中にしまってあった小舟を湖に浮かべ、漕ぎ出すふたり。
静かな夜にふたりは何を始めるのかな?
こどもがみーんな待っている、アレを作るためにやってきたんだよ。
可愛らしく、夢心地に浸れる本。
絵はベタな感じに仕上げていますが、たぶんこの作家さんは細密な絵も描ける人なんじゃないでしょうか?どんどん削って、減らしてシンプルな絵に仕上げているように見えます。表紙の水面の描き方、映り込み具合など、細かい部分の描き込みが素晴らしいです。
最近よく出版されている作家の意図するメッセージを押し付けるような作品ではなく、純粋なメルヘンの世界のお風呂にとっぷり浸かっているような気持ちになります。懐かしいというより、逆に新鮮。
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