トテチテ堂本舗/絵本支店

単純に絵本が好きです。お気に入りの本を独断と偏見で紹介します。

 
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01
 
いっちゃん

いっちゃんはね、おしゃべりがしたいのにね

前回『つみきのいえ』を紹介した時は、まさかアカデミー賞まで行くとは思っていなかった…。ちょっとびっくり。

さて、今回は大人になって、この本のよさが分からなくなってしまった本の紹介。
『いっちゃんはね、おしゃべりがしたいのにね』です。
長谷川集平が好きな人が、身近に結構いて意外に思ったのですが、子どもの頃の私も大好きでした。とにかく、この『いっちゃん』は小学校の図書室で年中読んでいた記憶があります。

でも、でもです。今はこの本のどこが好きだったのか、分からないんです。
誰に心を置き換えて読んでいたのか、それすらわからない。喋るのが苦手ないっちゃん?すぐ泣いちゃう新米先生?それとも、頑として食事をとらないこうじくん?
たぶん、先生やこうじくんじゃない。泣かないで有名だったし、ゆっくりで怒られたことがあってもごはんを食べないなんてことはなかったし。そうなると、いっちゃんなんだろうな。

小さい頃習っていた絵の教室の先生に、大人になってからあったら「あらーなっちゃんって、こんなにおしゃべりだったのね。あの頃は、「これについてなっちゃん、どう思う?」って訊くと、ふわーってなっちゃんが口を開けるより早くお母さんが「それはですね」って喋り出してくれたから、なっちゃんの声、覚えていないくらいなのよ」って云われたことがあります。
母は教育ママっていうわけではなかったのですが、江戸っ子気質で、とにかくのんびりとろーんとしている娘がまだるっこしかったらしいのです。
そんな状態だったので、たぶん云いたい事がきちんと周囲に云えない状態だったのかもしれません。だから、おしゃべりが苦手ないっちゃんにおなじような感情を抱いたのかな?

現在「うるさい!」「たまには口を閉じろ」と怒られるくらいおしゃべりになったなっちゃんには、この本のどこがいいのか、正直わかりません。
でも、きっといっちゃんと同じような気持ちの子どもがいっぱいいるだろうし、そんな子どもにいらだちを覚える大人もいっぱいいるだろうから、やっぱり紹介しておきたいな、と思います。
大丈夫、子どもの頃喋らなかった分を、ちゃんと放出できる大人になった例がいますよって。
 
16
 
つみきのいえつみきのいえ
(2008/10)
平田 研也

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先日読んで、ほろほろしてしまった本。
どうやら、アニメーションもあるらしい。長澤まさみがナレーションをやっているらしいが、なんてこった。もっと適任がいただろうに。

ちょっと不思議な体型のおじいさんがいた。
彼の家の周りはどんどん水に浸かって行く。潜水服を着て水の中に潜って行くと、彼をおいて死んでしまった奥さんの臨終のシーンが見えて来た。深く深く潜って行くと、彼の人生のすべてが綿々と連なっていたのだった。

こう書いてしまうとあっけないけれど、とてもきれいな絵、展開で、一瞬でおじいさんの世界にスッと入り込んでしまえる印象がある。日本人はついつい、過去を切り捨てないと新しい未来を手に入れられないような感覚を持ちがちである。しかし、人生はそんなに簡単に切り捨てられないし、それがなきゃ自分もあり得ないってことをもっと意識すべきだ。
過去を振返ったり、大切に抱きしめながら、今を生きればそれでいい。
 
16
 
こぶたくんの恋ものがたりこぶたくんの恋ものがたり
(1993/10)
ウルフ ニルソンフィベン ハルト

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1993年に出版されたこの本、絶版のためアマゾンでは表紙写真がありません。
恋をしちゃっているぶたさんは、この方です。

こぶたくん


ネクタイ締めて、パイプをくゆらすぶーさんが、「こ」ぶたかねー?と思いますが。



お紅茶にクッキーの朝食を頂く、一人暮らしのこぶたくんがいました。彼は、毎朝新聞に眼を通すりっぱな紳士です。昼間は泥だらけになってみたりもしますが、夜はちょっぴりのウィスキーをたしなんで、ナイトキャップをかぶりお布団に入る、そんな毎日を送っていました。
ある日、町中で出逢ったすてきなお嬢さん(もちろんぶたさんです)。すれ違ったその日からのこぶたくんは少し変です。ロマンチックな恋愛映画を見れば、目の前に浮かぶはお嬢さん。本を読めば『宙返り』のできるぶたならもてるかも?と思って、練習を初めて大事なお鼻とシッポを負傷。はては妄想小説まで書き出す始末。食事も喉を通らなくなって、はたと気がつきました。

「そうか。ぼくはあのおじょうさんに、恋をしてしまったんだ。そうだ、これが恋なんだ!」



はてさて、こぶたくんの初恋は実るのか、否か?
 
03
 
としょかんライオン (海外秀作絵本 17)としょかんライオン (海外秀作絵本 17)
(2007/03)
ミシェル・ヌードセン

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満を持して、この本を。
ここ数年で一番のお気に入りって云っても、過言じゃない。


お団子頭が似合う、初老の女性・メリウェザー館長の図書館は、いつも静かです。走ったり、大声で叫んだりしてはいけない、という規則がきちんと守られているからです。

ある日、一頭のライオンが図書館にやって来ました。
本を探すでもなく、静かにのそのそ歩き回り、子どもたちとおはなし会に聴き入りました。
「今日のおはなし会は、もうおしまいだよ」と女の子に教えてもらい、ついつい「ウォォォ!」と叫んでしまい、図書館員のマクビーさんに叱られてしまいます。
「図書館では大声を出さないこと!」
翌日もライオンは図書館にやって来ました。今日は静かに、のんびり過ごしています。

「メリウェザー館長!ライオンが図書館にまた来ました!」
館長の部屋に駆け込んだマクビーさん。
「図書館の中で走ってはいけませんよ、マクビーさん」
落ち着いて話す、メリウェザー館長。
「そのライオンは大声で叫んだり、走り回ったりしていますか?マクビーさん?」
「いえ、してません…」
「では、図書館にライオンが来てはいけない、という規則はありませんよ」

その日から、ライオンは毎日やって来て、図書館にいる子どもたちのはしご代わりになったり、シッポでハタキかけをしたり、切手貼りのお手伝い(大きな舌でベロリンと)をしたりするようになりました。

そんなライオンの活躍を気持ちよく思っていないのは、図書館員マクビーさん。

ある日、自室ではしごに上って、書棚の整理をしていた館長さんが足を踏み外し床に転げ落ちてしまいました。
「ライオンさん、マクビーさんを呼んで来てもらえませんか?どうも起きられそうもありません」
びっくりしたライオンは、走って走って、カウンターにいるマクビーさんのところへ行きます。

「図書館の中で走ってはいけませんよ」
マクビーさんは眼も上げずに、にべもなく言い放ちます。
この緊急事態に立ってくれないマクビーさんに、困ったライオンは、カウンターに手をついて…。

「ウォォォォォォー!!」

「図書館で大声を出す人は、いますぐ出て行きなさい!」
ライオンを追い出したマクビーさんが、この嬉しい報せを報告しに館長さんの部屋に行くと、床に倒れ込んでいる館長さんの姿。

翌日から、ライオンは図書館に来なくなりました。
子どもたちはがっかり、大人もなんだかしょんぼりしています。でも、一番落ち込んでいるのは、腕を骨折した館長さん。毎日毎日、窓の外を眺めてはため息をついてばかり。

困ったマクビーさんは、ついに雨の中、傘をさして表に出掛けました…




図書館が大好きなあなた、本が大好きなあなた、ライオンのあの大きな体にたてがみが大好きなあなた、こんな図書館があったら、毎日通いたくなってしまいますね。
この本、実はイラストにいろんな仕掛けがあるんですよ。たとえば、子どもが読んでいる本やら、窓ガラスなどに注目して読んでみると、また楽しいんです。

絶対お薦め。ぜひ読んで下さい。

 
21
 
ながいよるのおつきさまながいよるのおつきさま
(2006/01)
マーク シーゲル、シンシア ライラント 他

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今晩の月は、うっすら雲がかかっているため、縁取りがあやふやな感じだった。それを見て、この本を思い出したので、急遽紹介することにしました。

ネイティブ・アメリカンたちは、毎月現れる満月に名前をつけた。
例えば、1月hあらしのおつきさま「stormy moon」、2月は雪のおつきさま「snow moon」…、といった具合に。
母親は、胸に抱いた子どもに、それらの名前の由来を語り伝える。

自然の中に生きるネイティブ・アメリカンにとって、闇で覆われる夜は動物たちの時間であり、恐ろしさをも孕んだ神秘の時間である。子どもにとっては、まだ見ぬ魅力に溢れた時間でもある。
それゆえ、ネイティブ・アメリカンの親たちは、子どもたちに自然の怖さ、偉大さを伝えながら、しかしその中に共生していることを教えるため、そんな闇夜を照らす満月は「おまえのともだちだよ」と説く。

静かに、明るく輝く月。それは、何ものにも代え難い美しさである。


月の光には、銀色の特殊なインクをつかった印刷で、非常に美しい本に仕上がっている。
夜、そぉーっと一人で開きたくなる本。12ヶ月、満月の夜に開いてみてはいかが?